【日記】かけがえのない物語
こんばんは!
今回は、最近わたしのなかで感動しているお話がありまして、そのことを書きたいと思います。
再燃しているというか、まあ、思い返すたびに涙が出ちゃうんですよ。
前回は『白雪姫』のことを書きました。わたしが一から考察したってわけではなく、むかし読んだ本の内容を思い出しながら書いたものです。
昔から長く語り継がれてきた物語には、なんらかの示唆があるのではないかと思います。おとぎ話って、簡潔ですけど、想像力をかきたてられる。
『白雪姫』で、わたしが最重要と思うのは、『七人の小人』です。
小人たちとの暮らしだけは、なんだかいやに現実的なので。
さて、本題へまいりましょう。
これはメンタル系のお話というより、わたしの好きなお話のことを語るだけです。
ご了承ください。
わたしが好きで、思い出すたびに涙がこみあげてくるお話。
それは、『赤毛のアン』です。
ちょー有名なので、おそらく題名を知らない方というのはいないんじゃないかな。
わたしとしては、この世のすべての女の子に読んでほしい本、ナンバーワンです。
ざっとあらすじ。
カナダのプリンスエドワード島の田舎町アヴォンリーに住む、老いた兄妹、クスバート家のマシュウとマリラが、マシュウの野良仕事を手伝わせるために孤児院から10歳くらいの男の子を引き取ることにしたが、手違いでやってきたのがアン。おしゃべりで夢見がちで、想像力豊かだけど、生い立ちのせいでどこか悲観的なところもあるアンが、自然豊かなアヴォンリーで成長していく物語。
わたしが最も感動するのは、マシュウとアンの関係です。
マシュウはかなり無口でシャイで、この世の中でまともに話せる女性は妹のマリラと近所に住んでいるリンド夫人だけ。年は60歳くらいで、とても不格好らしい。
どんな年頃の女性も苦手だというのに、10歳くらいの男の子を駅に迎えに来たつもりが、待っていたのは11歳くらいの女の子。駅に置き去りにはできず、とりあえず家に連れて帰り、一切合切を妹のマリラに任せようとしたけれど、馬車に乗ってからもずっと楽しそうに話し続けている寄る辺ない女の子のおしゃべりがまったく愉快に思えてきて、グリン・ゲイブルス(屋号『緑の切妻屋根』)に着くころには、この子を引き取りたいと思うようになっています。
マシュウは無口で、議論で押し切ろうなどとはしないけれど、こうと決めたら覆すことがない人。マリラも、ほんの少しの間ではあれど、アンの突拍子の無さに惹かれている自覚があり、クスバート家で引き取れないなら「おそろしく働き者で人をこき使う」家にアンが引き取られそうになったことで、迎え入れる決心をします。
はじめからマシュウとアンはどこか通じ合うものがあったようで、アンは自分のおしゃべりを身を入れて聞いてくれて、否定することのないマシュウが好きで、マシュウは無口だけど自ら話をしなければならないとか、適切に相槌をうたなければならないとかがなければ、おしゃべりをする人のことは好ましく、アンのおしゃべりも好きです。
マリラは、女の子を引き取るのならしっかりと育て上げなければならないと、教育の義務を負っていたので、厳しく接することがあります。が、それは隠しきれない愛情を自分でもわかっていたためで、ことさら厳しく接しちゃうんですよ。マシュウはただひたすらアンを可愛がればよかったので、そこは楽だった。
一番好きなエピソードは、音楽会のための洋服をマシュウが準備する話です。
マリラは、あんまり贅沢させたり浮ついた気持ちになるような華美な服装は教育上良くないと決め込んでいたため、はじめのうち、アンには周りの女の子たちよりもかなり地味な服装をさせていました。
マシュウはアンと友だちの女の子たちの様子を目撃し、違和感を覚えます。
もちろん、うちのアンは素晴らしくてかわいいな、と思っていたのですが、なんか変だなと。何が変なのか、悩んだ末に理解しました。アンの服装がとても質素であることに。
アンの教育はマリラが担っているため、口出しすることはないし、きっと深い考えがあってのことだろうと思ってはいたけど、ちょうどクリスマス直前だったために、きれいで最新流行の素敵に袖のふくらんだ洋服を贈ることにしました。
が、そもそも服装、それも女の子の服ことなんてわからず、マリラの助力は願えないしで、それでもどうにか買いに行ってみたものの、出てきた店員がてきぱきとした若い女性(恐怖の対象)だったため、正気を失ったマシュウは要りもしない熊手と黒砂糖を買って帰ることになったのでした。
散々だったけども、これで自分だけでは対処できないことを悟り、妹以外で話のできるリンド夫人を頼ると、あっさりと悩みを解消してくれました。
クリスマスの朝、マシュウから新調した服を贈られると、アンは感激のあまり言葉も出ず、涙があふれるほど。
アンにとって最良のクリスマスだったでしょう。
確か、続編(アンシリーズ)で、大人になったアンが、友人や夫や子どもたちからたくさん素敵なプレゼントをもらってきたけど 、マシュウ小父さんからもらったあのパフスリーブのことはいつまでも色あせない思い出だと言ってたような…。うろ覚えだけど。
アンは成長して(5年後、16歳くらい)、空想や想像力を失うことなく勉強に励み、大学へ進むためのエイヴリー奨学金を獲得します。(学院でひとりだけ獲得できる)
そのことをマシュウもマリラも誇らしく思ってくれているのですが、年老いても仕事の手を緩めずいい加減にできないマシュウがとても疲れている様子を見て、ついアンはこんなことを言います。
「わたしが男の子だったら、マシュウ小父さんの役に立てたのにね」
もともとは、マシュウの野良仕事の手伝いをさせるために男の子を引き取ろうとしていたわけなので。
「そうさな、わしには12人の男の子よりもお前ひとりのほうが良いよ」
マシュウはアンの手をさすって続けます。
「いいかい? 12人の男の子よりいいんだからね。そう、エイヴリー奨学金をとったのは男の子じゃなくて、女の子じゃなかったかな? 女の子だったじゃないか、わしの娘じゃないか、わしの自慢の娘じゃないか」
いつもの内気な微笑を浮かべて、アンにそう言いました。
わたしは、この、「12人の男の子よりお前ひとりのほうが良い」というのは、言い方はほかにもあるかもしれないけど、だれもが子どものころに親からそんなふうに思ってほしい言葉じゃないかなと思うんですよ。まあ、親じゃなくてもいいかもしれないけど。
とはいえ、これは、ただただ言葉だけを連ねればいいということじゃなくて、たとえばアンなら、もともとは野良仕事に役に立つ男の子が求められていたところにやってきて、女の子であるにもかかわらず引き取ってもらえたという、いわば、「引け目」みたいなものが、ほんのちょっぴり胸にわだかまっていたかもしれません。
もちろん、普段はマシュウとマリラの愛情を疑ったりしないでしょうが、ひょっとすると、「わたしがここにいて、ふたりにとって本当に良かったのだろうか?」と自分自身を疑わしく思えてしまう瞬間があったのかも。
でも、マシュウはその疑いを退けました。完全に永遠に。
アンは、マシュウにとってほかの誰にも替わることのできない唯一無二の存在であると伝えました。
もちろん、この言葉をかけられる存在はアンにとってはマシュウだけなので、マシュウもまた唯一無二です。
かけがえのない、ほかの誰にも替わることのできない、「わたし」と「あなた」。
ふたりで紡いだ、かけがえのない物語こそが愛ではないかと思います。
マシュウはアンがやってきた夜にマリラから、「あの子がいったい、わたしたちのなんの役に立つと言うんです?」 と問われて、「わしらのほうで、あの子の役に立てるかもしれんよ」と答えていました。
でも、それは間違いだったと後にふたりは気づきます。
アンは、マシュウとマリラにとっては祝福だったと。アンがやってきたのは、間違いなんかじゃなく、ふたりにとって必要だという神さまの思し召しゆえだったのだろうと。
あ~、言いたいことが言えてないですけど、とにかく、『赤毛のアン』は最高です!
今回のはうちにある『赤毛のアン』を読みながら、思い出しながらだったので、
大半泣いてました(笑)
でも、感動を伝えるって難しいわぁ。
わたしが泣いててどうすんの。
まとまりのないまま終わります。
では、また。